あざみ野リーガルオフィス(旧 佐藤司法書士事務所)

土地・建物の登記

財産分与の手続

財産分与のイメージ 離婚の際には相手方といろいろなことを取り決めなければなりません。子の親権や養育費、慰謝料などがその代表例ですが、離婚の際に結婚生活の中に築き上げた財産を分けることを財産分与(清算的財産分与)と呼びます。

清算的財産分与の対象財産
 清算的財産分与の対象となるのは、婚姻中に共同で築き上げた財産ですから、婚姻前から持っていた財産や親から贈与、相続により取得した財産は財産分与の対象とはなりません。
 また、プラスの財産だけではなく、婚姻生活のためにした借金、例えば住宅ローンなどのマイナスの財産も財産分与の対象となります。
 自宅不動産を財産分与によりもらう場合に、住宅ローンの残額の支払いを全て引き受けることがありますが、住宅ローンの名義を相手方に代えるには、銀行などの債権者の同意が必要となります。また、住宅ローンなどを引き継がなくても保証人になっている場合は離婚しただけでは保証人のままですので、金融機関と交渉して保証人から外してもらう必要があります。

財産分与の方法
 財産分与は離婚前に行う場合は、当事者の協議よる方法、離婚調停や離婚訴訟と一緒に行う方法があります。離婚成立後にも財産分与を請求することができますが、離婚成立後2年以内に請求しなければなりませんので注意が必要です。離婚後に財産分与を行う場合も当事者の協議による方法と、家庭裁判所に財産分与の調停・審判の申立をする方法があります。


財産分与の登記手続(協議離婚の場合)

協議離婚の場合の財産分与による不動産の名義変更の登記は、両当事者の協力がなければできませんので、財産分与協議がまとまってその協議書を作成したとしても、それだけでは名義変更の登記はできません。別に登記用の書類を揃える必要があります。
 離婚後はお互いに赤の他人となってしまいますので、離婚や財産分与協議成立後に登記のための協力を求めても拒否されたり、連絡がとれなくなってしまうなんて事になりかねません。そのため、財産分与の協議がまとまり、財産分与協議書を作成するのと同時に登記に必要なものを用意し、離婚成立後または財産分与協議成立後、速やかに登記をされることをおすすめします。なお、財産分与に基づく登記は、離婚成立後でなければ登記できませんのでご注意ください。

 財産分与の協議が成立していて相手方の協力が得られる場合は、ご依頼により当事務所が相手方と直接、面談や書類のやり取りをすることで手続を進めることができます。これにより、お互いに相手方と顔をあわせないで手続を進める事もできます。財産分与協議書を作成していな場合、登記の書類と一緒に作成することもできます。
 
 また、相手方と財産分与の協議がまとまらないため、裁判所に調停の申し立てをすることをお考えの方のご相談も受け付けております。調停申立書の作成や手続についてご相談ください。

【財産分与の登記をご依頼いただいた場合の手続の流れ】
 1.ご依頼者様と面談、財産分与協議の内容の確認
 2.相手方へ連絡、面談などにより財産分与協議の内容の確認
 3.ご依頼者様、相手方それぞれから必要書類の受領、捺印書類への署名捺印
 4.登記申請
 5.不動産の名義書換の終了

財産分与の登記の必要書類
・不動産の権利証、または、登記識別情報通知
・ご実印
 ⇒当事務所で作成する登記委任状と登記原因証明情報に捺印していただきます。
・譲り渡す人の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)
・譲り受ける人の住民票
・固定資産評価証明書
・離婚の記載のある戸籍謄本
※この他に、住所や氏名の変更登記が必要な場合は、戸籍謄本や住民票等が必要になる場合があります。

財産分与の登記手続(調停などによる離婚の場合)

調停などによる離婚の場合で、調停調書に財産分与の内容が記載されている場合には、相手方の協力無しで登記手続を進めることができます。
その場合の必要書類等は、次のとおりとなります。

 1.調停調書正本又は判決正本
 2.受けとる人の住民票
 3.固定資産評価証明書
 4.受け取る方のご実印、本人確認書類

※この他に、当事者の方の住所や氏名(名字)が登記簿の記載と異なっている場合は、その変更登記が必要となりますので、その方の戸籍抄本や住民票が必要となります。

財産分与の登記の登記費用について

財産分与の登記にかかる費用は、【法務局に収入印紙で納める登録免許税等の実費】【司法書士の手数料】からなります。
事案、不動産の固定資産評価額及び不動産の数などによって変わりますので、資料を拝見して計算するのが原則ですが、概算でも費用をお知りになりたい方は、固定資産評価証明書又は固定資産税納税通知書をご用意のうえご連絡ください。

【当事務所の手数料(消費税抜き)】
所有権移転登記 63,140円〜
(財産分与:マンションの場合)  
合意書作成手続(必要な場合のみ) 12,000円〜
登記簿調査費用          1,500円〜

【登録免許税について】   
なお、財産分与の登記の登録免許税の税率は、固定資産の評価額の20/1000となっております。
売買の場合と異なり、登録免許税の軽減はありません。

財産分与に関する税金の知識

不動産を財産分与すると分与した人に譲渡所得税、分与を受けた人には不動産取得税、贈与税が課税される場合があります。

【みなし譲渡による譲渡所得税】
財産分与が不動産で行われたときは、税務上は、不動産を時価で分与を受けた人に売却したとみなされますので、不動産の購入時よりも値上がりしている場合は、譲渡所得税に注意が必要です。

【贈与税】
 分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額や慰謝料の額などその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合には、その多過ぎる部分に贈与税がかかることになります。
 また離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合には、離婚によってもらった財産すべてに贈与税がかかります。

【不動産取得税】
 夫婦財産を清算するために不動産を財産分与する場合は、不動産取得税がかからないと言われていますが、実務上、分与する人の単独の名義となっている婚姻中に取得した不動産を分与する場合に持分2分の1に対しては夫婦財産の清算として非課税となり、残りの2分の1については課税の対象となるようです。
 もっとも、財産分与される不動産は、婚姻後に取得し、自宅として利用しているものがほとんどだと思います。自己居住用不動産を取得した場合の不動産取得税の減額が受けられる不動産であれば不動産取得税はほとんどかからない事になると思われます。

【登録免許税】
 登記費用の項目で記載しました、不動産の名義を書き換える際にかかる税金です。不動産固定資産評価額の2%が税額となります。

 当事務所に登記などをご依頼いただいた方で、税金の問題に不安がある方は税理士のご紹介もいたしますのでお気軽にご相談ください。


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