相続手続
遺言書が出てきたら
【遺言書の内容と遺留分の制度】
亡くなった方が遺言書を残されていた場合、遺言書で書かれた内容は、法定相続分よりも優先されます。
しかし、家族の中の特定の人のみや親族以外の人に全財産をあげるという内容の遺言書であった場合、その他の相続人は生活に困ることになる可能性もあります。
そのため、民法では法定相続人が最低限相続できる財産を「遺留分」として保障しています。
配偶者・子などの直系卑属のどちらか一方のみの場合は、相続財産の2分の1
配偶者・子などの直系卑属の両方いる場合も、相続財産の2分の1
直系尊属だけの場合は、相続財産の3分の1
兄弟姉妹には遺留分はありません。
但し、遺留分は、主張して初めて効力が発生する権利ですから、遺留分のある相続人が遺言書の内容を認めて権利を主張(遺留分減殺請求といいます)しなければ、遺言書の内容がいわば確定します。
現実には、疎遠の親族などは主張してこない場合も多いと思われます。
仮に遺留分減殺請求がなされた場合には、遺留分は相続財産全体に対する割合ですが、土地や建物などのすべてをを遺留分の割合で渡さなければならないというわけではありません。具体的な遺産の分割については、お話し合いや裁判上の手続で解決することになります。
自筆遺言書の検認手続
亡くなった方が自筆の遺言書を残されていた場合、裁判所に検認の申立てをし、その手続きが終了した後に預金や登記名義の書換え手続きをすることになります。
尚、公正証書遺言の場合は検認の必要はありません。直ちに預金や登記名義の書き換え手続きが可能です。
自筆遺言書の場合は、検認手続をしないと遺言を執行できないのみならず、遺言書を見つけたのに検認手続を遅滞なく申し立てなかったり、封のされた遺言書を勝手に開封した場合は5万円以下の過料に処せられる可能性があります。
検認の手続は、相続人に対し遺言書の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。
この手続きは遺言の有効・無効を判断する手続ではありませんので、遺言の有効性に争いがある場合は、別途、遺言無効確認の訴えで判断されることになります。
当事務所では、戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本の収集や検認の申立書の作成もいたしております。
もちろん、検認後の相続手続もサポートいたします。
遺言書の検認手続の流れ
1.必要書類の収集
検認の申立書の添付書類を集めます。
お客様がご自分で集めていただくことも、当事務所に収集をご依頼いただくこともできます。
もちろん一部の書類のみをご依頼いただいても大丈夫です。
【必要書類】
・相続人全員の戸籍謄本
・遺言者の出生から亡くなるまでの戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
※相続人が子と配偶者以外の場合は、
相続人を特定するために他にも戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本が必要となります。
2.検認申立書の作成、提出
当事務所で作成した申立書に署名捺印をいただきます。書類の提出は当事務所で行います。
3.検認期日の通知
裁判所から遺言書の検認をする日のお知らせがきます。
4.検認期日
申立人は、この日に遺言書の原本をもって裁判所へ行きます。
他の相続人は、遺言書を確認したい方だけが出席すれば大丈夫です。
出席した相続人の立会いのもと、遺言書の形状や内容を確認します。
封のされた遺言書であればこのときに開封します。
5.検認済証明書の取得
検認後、遺言書に検認済証明書を付けてもらいます。
6.預金の払い戻しや登記名義の書換など、各種の相続手続きが可能となります
【検認申立費用】 検認申立書作成料 33,000円 戸籍謄本謄本等取得報酬(1通あたり) 1,650円 プラス実費(申立裁判所費用800円・予納郵券代1,000円程度・戸籍代実費・郵送費) |