あざみ野リーガルオフィス(旧 佐藤司法書士事務所)

相続手続

不在者の財産管理人選任手続き

 遺産分割協議は、相続人全員の合意がなければすることはできませんが、相続人の中に行方がわからない方がいるために相続人全員で協議ができない場合があります。そんなときは、家庭裁判所にその行方がわからない相続人の代りに遺産分割協議をしてくれる人を選任してもらいます。行方がわからない方のことを不在者と呼び、その不在者の財産を管理するために選任された人のことを不在者財産管理人といいます。

当事務所のサポート業務
 当事務所では、相続手続と一緒に不在者財産管理人選任申立手続のご依頼も承ります。申立書の作成・提出はもちろん、不在者の戸籍謄本や住民票などの取得、遺産分割協議書案作成のアドバイスなど、不在者財産管理人選任申立手続全体をサポートいたします。また、不在者のご身内の方が不在者財産管理人となられた場合は、相続手続後の財産管理業務についてもサポートいたしますのでお気軽にご相談ください。

手続の流れ(選任の申し立て)

不在者財産管理人を選任しなければならない場合の遺産分割協議までの流れ

1.不在者の調査
  戸籍謄本、戸籍附票や住民票を取り寄せ、住所を確認し、住所地の現地調査や手紙 を送るなどして実際に行方不明かどうかを確認します。
2.不在者の財産の調査
  不在者の財産が無いか確認します。相続手続に伴う案件の場合は、遺産に対する相 続分が不在者の財産となりますので、遺産と相続分を調査・確認します。
3.不在者財産管理人選任申立 
  申立書に申立手数料、予納郵券、必要書類を合わせて管轄の家庭裁判所へ提出しま す。申立書には、不在者財産管理人の候補者も記載します。
  裁判所は申立てを受け付けると独自に不在者の行方を調査します。
4.不在者財産管理人の選任の審判
  申立てに不備がなく、裁判所の調査でも不在者が発見されなければ、不在者財産管 理人が選任されます。
5.財産目録の提出
  不在者財産管理人が選任されると財産管理人は、不在者の財産を調査し財産目録を 作成して、裁判所へ提出します。
6.遺産分割協議案の作成、不在者財産管理人の権限外行為の許可申立
 不在者財産管理人とその他の相続人全員で遺産分割協議案を作成し、遺産分割協議案 をつけて、遺産分割協議案のとおり遺産分割することの許可の申立てをします。
7.権限外行為の許可の審判
 権限外行為の許可の審判がおりた後は、遺産分割協議案のとおり遺産分割協議書を作 成し相続人全員と不在者財産管理人が署名捺印すれば遺産分割協議は成立します。


【不在者財産管理人選任の申立ての方法】

不在者財産管理人選任申立書を作成して、管轄の家庭裁判所へ提出して行います。

 管轄の家庭裁判所
 下記の所在地を管轄する家庭裁判所
 ・不在者の住所地または居所地
 ・不在者の最後の住所地
 ・財産の所在地(上記の所在地が不明な場合)

 不在者財産管理人選任申立てをできる人(申立権者)
  申立てをできる人は、利害関係人または検察官とされています。
  利害関係人とは、法律上の利害関係を有する人のことで、相続手続に際して申し立てる場合は、不在者と共同相続人となる人が申し立てることができます。

【申立ての費用】
 ・申立手数料 800円(収入印紙を申立書に貼って納めます)
 ・予納郵券 約2,000円(裁判所によって若干変わります)
 ・財産を管理するための管理人の報酬や管理のための諸経費などを不在者の財産で支払える見込みがない場合は、数万円から数十万円の予納金が必要になる場合があります。
  
 必要書類
 ・不在者の戸籍謄本
 ・不在者の戸籍附票
 ・財産管理人候補者の住民票、または戸籍附票
 ・不在の事実を証する資料(行方不明者届受理証明書など)
 ・不在者の財産に関する資料(不動産登記事項証明書、預貯通帳写しなど)
 ・申立人の利害関係を証する資料(戸籍謄本,契約書写し等)

【不在者財産管理人候補者について】
 不在者財産管理人選任申立書には不在者財産管理人の候補者を記入する欄があります。不在者財産管理人は弁護士などの専門家でなくともなることができますので、財産の状況によって身内の方を選任してもらうこともできますが、相続手続のために不在者財産管理人を選任してもらう際は、他の共同相続人の方が不在者財産管理人になってしまうと利益相反行為となってしまい遺産分割協議ができなくなってしまいますので注意してください。

手続の流れ(権限外行為の申し立て)

遺産分割協議案ができたら裁判所に権限外行為の許可の申立てを行います。

 申立て後、遺産分割協議案を裁判所が審査し、不在者を害することが無いことを確認できれば、許可の審判がおります。遺産分割協議案の内容に問題がある場合は、内容の変更を求めてきますので、裁判所の意見を聞いて内容を変更します。

 申立先
 ・不在者財産管理人を選任した家庭裁判所
 申立ての必要書類
 ・遺産分割協議書案
 ・相続人を特定するための戸籍謄本等
 申立費用
 ・申立手数料 800円(収入印紙を申立書に貼って納めます)
 ・予納郵券 約400円(裁判所によって若干変わります)
 
【遺産分割協議案の作成について】

 不在者財産管理人が遺産分割協議をするためには裁判所の許可が必要となります。許可を得るためには、原則として不在者のために法定相続分を確保した遺産分割協議案を作成しなければなりません。遺産分割後の不在者財産管理人の財産管理を容易にするため、なるべく現金を不在者に相続させることがいいと思います。
 不在者の調査の結果、不在者が現れる可能性が限りなく無いに等しいときは、不在者が現れたら他の相続人が金○○万円を支払う旨の内容で、全財産を現存する相続人全員で分けることが認められる場合もあります。

許可後の手続

権限外行為の許可の審判がおりたら、許可のとおり遺産分割協議書を作成し、遺産分割協議書には相続人と不在者財産管理人の印鑑証明書、選任審判書及び権限外行為の許可の審判書を一緒にしておきます。これを基に各遺産の名義変更や払い出しの手続を行います。
 なお、遺産分割協議後、不在者財産管理人は管理すべき不在者の財産が無い場合は、完了報告を裁判所に提出してその任務を終了します。管理すべき財産がある場合は、財産管理を継続することになりますが、事案によっては不在者について失踪宣告の申立をして、その財産を不在者の相続人に引き渡す事も考える必要があります。


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